---------------------------------------------------------------------- Digital Image TRX software KG-STV ver.1.0.1 readme ----------------------------------------------------------------------  このたびはKG-STVのダウンロードおよびご利用、ありがとうございます。  このKG-STVは無線機を使ったデジタル画像の送受信ソフトウエアです。  このソフトウエアはデジタル信号処理により信号をデコードするので、外部 にデコーダを接続する必要がなく、パソコンのサウンド入出力と無線機のスピ ーカ・マイク端子、そしてPTT制御のRS232Cを接続すると送受信ができます。  KG-STVは画像をブロックごとに処理し、情報を付加して個々に送信するため 途中でデータが欠落してもその部分だけが黒くなるだけで全体像は受信するこ とが可能です。また信号の途中から受信しても画像を途中から再生することが 可能です。  受信できなかったブロックについては、再送要求(BSR)を行うことで補うこと ができます。  320x240pixcelの画像を約2分前後(画像圧縮設定による)で送受信ができま す。  モデムに送信出力が定包絡となるFSKの一種であるMSK(Minimum Shift Keying) や4L-FSKを用いることで、OFDMやPSK系の変調に比べて無線機の最終段アンプの 性能をフルに使うことができ、伝送距離が伸びることが期待できます。 ○インストール・アンインストール  インストールはダウンロードした圧縮ファイルを解凍し、解凍後のファイル やフォルダをそのまま任意の場所へコピーするだけとなります。  解凍作業は、Windowsに標準で解凍プログラムが入っている場合は圧縮ファイ ルをダブルクリックで開き、表示されたフォルダ内のファイルを別のフォルダ へコピーすることで解凍が完了します。解凍時表示されたフォルダは圧縮ファ イルの中身を表示するだけの仮の状態なので、必ず別のフォルダへコピーして 解凍を完了させて下さい。  また圧縮ファイルを右クリックし、メニューに「すべて展開」という項目が ある場合は、これをクリックすることで解凍することができます。  標準で解凍プログラムが入っていない場合は別途解凍ソフトにより解凍を行 います。解凍ソフトによってはうまく解凍できない場合もあるようです。推奨 する解凍ソフトはLhaplus1.56です。  なおフォルダの構成や名前を最初の状態から変えないでください。起動がで きなかったり機能の一部が使用できなくなりなったりします。  アンインストールはレジストリを一切使用していませんので、フォルダごと、 そのまま削除してください。  KG-STVで自動画像保存機能で画像を保存する場合、自動的にAutoSaveという フォルダが実行ファイルがあるフォルダに作られます。 ○受信に必要な機材  受信するには以下の機材が必要です。   1.無線機・・・・・・・・SSBまたはFMモードが搭載されているもの   2.アンテナ・・・・・・・無線機と整合の取れているアンテナ   3.パソコン・・・・・・・下記スペックを満たしているもの   4.PC無線機接続ケーブル・一般的なデータ通信ソフトに使用するケーブル ○無線機  KG-STVはFMとSSBにて画像データの送受信が可能となっています。その他の モード(AMなど)では伝送が不安定になる場合があります。  無線機や無線伝送路の状態によって送信特性や受信特性が悪化する場合があ ります。その際はKG-STVのアイパターンで劣化具合が観測されます。 ○アンテナ  送信も可能な調整されたアンテナが必要です。 ○パソコン  KG-STVを動作させるには以下のスペック以上のパソコンが必要です。   OS   : WindowsVista/XP   CPU   : Celeron 1.06GHz 以上   メモリ   : 1GByte 以上   表示  : 1024x768pxcel以上   サウンド:48kHz 16bit対応 ○PC無線機接続ケーブル  受信するだけでしたらパソコンのマイク端子と無線機のスピーカ端子を接続 するだけでOKですが、送信も行うのであればこれとは別にパソコンのライン出 力と無線機のマイクを接続するアッテネータ付のケーブルと、PTT制御用にパ ソコンのRS232Cと無線機のPTT端子を接続する回路が必要です。  これらの配線は一般的なパソコンを使った画像やデータ通信ソフトと同じな ので、それらのケーブルを流用することが可能です。  なおKG-STVの信号でVOXを使ってPTTを制御することも可能です。 ○KG-STVのセットアップ  KG-STVをインストールし、無線機との接続が完了したらKG-STVを使えるよう に設定と調整を行います。  まずサウンドの入力・出力デバイスの選択をします。設定するにはKG-STVの Setをクリックして選択画面を開き、Input DeviceとOutput Deviceを設定しま す。  ここで同時にRS232C PortでRS232Cポートの設定も行います。  また送信する場合は送信するコールサインをCallsign欄にを設定します。コ ールサインを設定しないといかなる送信操作を行えません。  受信完了時に画像を自動的に保存したい場合は、 Save image automatically when received new one.  のチェックボックスにチェックを入れます。  設定を終えたらOKをクリックして設定を反映させます。  設定が完了したら実際に電波を送信して変調レベルを調整します。  下記の送信の手順を踏み実際に送信し、別の受信機で信号をモニターして音 が歪まない程度にケーブルのアッテネータやKG-STVのスライド、場合により Windowsの音量を調整します。  受信も同様にパソコンで入力信号をスピーカに出力し、音が歪まない程度に ケーブルのアッテネータや無線機のボリューム、場合によりWindowsの音量を調 整します。 ○KG-STVの操作方法 注:KG-STV画面内にて赤文字で示したボタンは送信操作となりますので、周波   数が使われていないか、機器が正常に動作・接続されているかを確認して   から送信を行って下さい。 注:送信するにはコールサインの設定が必要です。コールサインが設定されて   いない状態で送信しようとすると「Set your callsign」というエラーダイ   アログが表示されます。 ・受信  受信は信号を待ち受けるだけでわずらわしい調整は必要ありませんが、相手 局と自局の周波数が大きくずれていると受信ができません。この場合、ウォー タフォール画面を見て相手のスペクトルが黄色の点線の間に入るように無線機 の受信周波数を調整して下さい。  画像受信中は緑色で送信元のコールサインが表示されます。 ・送信  画像を送信するには以下のステップを踏みます。  1.画像ファイルをKG-STVのドラッグ&ドロップする   画像ファイルはbmpかjpegとなります。画像サイズは自動的にリサイズされ   て320x240pixcelになります。アスペクト比が異なる場合は、余分な上下又   は左右の画像が切り取られます。   クリップボードからのコピーも可能です。詳しくは下記を参照下さい。  2.送信時間の確認と画質調整   ドラッグ&ドロップをすると、KG-STVのタイトルにファイル名とTxTime=   と表示されます。TxTimeは送信に要する予想時間です。この時間を見なが   らSend Imageの右側にあるプルダウンメニューの上から3番目の画質調整   を変えて送信画像の画質を決定します。  3.送信   これらの操作が完了したらSend Imageボタンをクリックして画像を送信し   ます。   画像伝送中は押されたSend Imageボタンをクリックすることで送信を中断   することもできます。   送信中は赤文字でコールサインが表示されます。 ・BSR(再送要求)のしかた  受信画像で受信できなかったブロックがある場合、Send BSRボタンが操作可  能になります。ここでSend BSRをクリックすると、相手局に受信できなかっ  た画像ブロックの座標を送って必要な画像ブロックの再送を要求します。  なおBSR送信中はウォータフォール画面に残りのBSR数を表示します。 ・再送要求の応答のしかた  再送要求を受けた場合Resp BSRボタンが操作可能になりますので、Resp BSR  をクリックして相手局が不足した画像ブロックデータを再送します。  他局の不要な再送要求を受けた場合、そのままResp BSRボタンをクリック  すると不要な再送要求のデータに対して再送要求の応答を行ってしまいま  す。そのため、不要な再送要求を受信した後に本来の再送要求を受信する  場合はResp BSRボタンの横にあるBSR CLRボタンをクリックして無効な再送  要求をクリアして下さい。 ※再送要求による画像補完は再送要求を送った後のみ有効になります。再送要  求を行っていない場合、他局の画像補完データは画像化されません。なお再  送要求を出した場合はその直後にデータを再送してもらってください。その  間に他のデータを受信すると画像補完はされません。 ※Send BSRやResp BSRは画像を新たに受信したり、画像ファイルをKG-STVに入  れた場合リセットされます。  またBSR要求やBSR応答の送信中に中断した場合BSRの情報は破棄されます。 ○送信画像の確認  画像をドラッグ&ドロップを行うと送信する画像を表示しますが、受信など を行い画像が変わった後、現在どの画像が送信用に選択されているか「Check TX Img」ボタンをクリックと確認することができます。 ○クリップボードへ画像のコピー  「To Clipboard」ボタンをクリックすると現在表示されている画像をクリッ プボードへコピーします。 ○クリップボードから画像の読み込み  「From Clipboard」ボタンをクリックすると現在クリップボードにある画像 をKG-STVに読み込みます。またこの状態でSend Imageボタンをクリックすると クリップボードの画像を送信します。BSRへの応答も同様です。  他の画像ファイルをドラッグ&ドロップするとクリップボードからの画像は 解除されます。またクリップボードに画像以外のテキストなどのデータがコピ ーされるとクリップボードの画像データは消去されます。  そのため、クリップボードから送信とBSRを行う場合は、From Clipboard ボタンをクリックしてから画像ファイルをドラッグ&ドロップしたり、クリッ プボードに他のテキストなどをコピーしないで下さい。 ○過去受信画像の表示  過去に受信してAutoSaveフォルダに記録されているJpegファイルを左三角ま たは右三角ボタンで表示させることができます。この際、画面の左下にファイ ル名を表示します。ファイル名は、年月日_時分_コールサインとなっていま す。 ○ウォータフォールとアイパターン表示  受信信号の確認用に周波数スペクトルを色の濃淡で時系列表示を行うウォー タフォール表示とデータの復調具合を見るためのアイパターンを表示すること ができます。これらはウォータフォールまたはアイパターン画面上でクリック することで切り替えが可能です。 ○コールサイン表示画面  ウォータフォール画面(またはアイパターン画面)の下にある画面はコール サイン表示画面で、受信中は相手のコールサインを「RX ????」と緑色で表示し ます。また送信中は「TX ????」と赤色で表示します。  このほかにもコールサイン表示画面では受信しているモードの表示を左下に 行います。表示は種類は以下のとうりです。   IMG :画像データ   BSR :BSR要求データ   IMG(BSR):BSR応答画像データ   TXT :文字データ  なお文字伝送時は受信文字にコールサインが入ることとデータ送信自体が短 いことからコールサイン表示は行いません。  また右下に「Img time out」と赤文字で表示される場合もあります。これは タイムアウト処理を行ったことを示します。タイムアウトに関しては下記を参 照下さい。 ○データエラー時の画像化設定  KG-STVでは全てのデータに対してエラー検出を行っていますが、画像データ についてはエラーがあったとしても画像化を行う処理が行うように初期設定で 設定されています。これはデータがエラーだとしても画像をある程度復元する ことができる可能性があるためです。  しかしJPEGの画像データはハフマン符号により圧縮化されているので、エラ ーの位置や数によっては画像ブロックの色合いがおかしくなったり白黒のスト ライプ状になったりします。  エラーの位置を確認するためにKG-STVの画面右下にエラー画面を設けていま す。この画面では受信時に緑色になればデータは正常で、赤色になればデータ がエラーであることを示します。なお黒色は信号を検出できていないことを示 します。  もしデータがエラーの場合は画像化を行わず黒色の画像ブロックのままで受 信画像画面を表示したい場合は、Setボタンを押して設定画面を開き、   Decode only error free image data. のチェックボックスにチェックを入れます。 ○タイムアウトについて  KG-STVでは信号を検出できなくなってから一定時間内に信号が確認できない 場合、信号が途絶えたと判断し受信処理を完了させます(タイムアウト処理)。  これは本来は終了信号や中断信号を検出して受信処理の完了を判断している ためで、信号が途中で途絶えた場合に画像の処理を正常に行わせるためにこの 処理が備わっています。  タイムアウト処理が行われた場合、ウォータフォール画面(またはアイパタ ーン画面)の下のコールサイン画面の右下に「Img time out」と赤色で表示さ れます。  タイムアウトを行うまでの時間(タイムアウト時間)は初期値で30秒ですが、 回線の安定性によって変えたほうが良い場合もあり、この時間は設定で変更が 可能になっています。  タイムアウト時間を設定するには、Setボタンを押して設定画面を開き、 「Time out」の右にある上下ボタンをクリックして値を設定します。  なお「Now time out」をクリックすると現在の受信状態を強制的にタイムア ウト状態にすることができます。 ○MSKと4L-FSKでの伝送  MSKとはデジタル信号の変調方法であるFSK方式の一種で、FSKのマーク周波 数とスペース周波数の周波数間を最小にしたものです(Minimum Shift Keying)  4L-FSKとは4値FSKのことで、FSKの一種で取り得る変調周波数を4点設ける ことでMSKに比べて2倍の伝送速度を得ることができます。  4L-FSKではMSKに比べて周波数間が狭くなるのでノイズの影響を受けやすく、 また伝送回線の特性の悪化の影響を受けやすくなります。  この2種の選択ですが、FMなどの回線状態が良いときは早く画像を送るため、 または画質の良い画像を送るために4L-FSKを選択すると良いと思います。無線 回線の状態が不安定なHFにおけるSSBでの伝送はMSKにするとデータの通りがよ くなると思います。  Send Imageの右側にあるプルダウンメニューの上から1番目のプルダウンメ ニューでMSKか4L-FSKかの選択が可能です。 ○畳み込み符号モードでの伝送  Send Imageの右側にあるプルダウンメニューの上から2番目のプルダウンメ ニューは符号処理の選択です。ここで符号処理なし(NORM)か畳み込み符号処理 (CONV)を行うか設定します。  畳み込み符号処理を行うとノイズに対して強くなりますが、同じデータを送 るのに約2倍の時間がかかります。  符号処理は伝送状態を確認しつつ、ケースバイケースで選択してください。  なおこの設定は送信中でも変更が可能です。 ○テキストメッセージの送受信  KG-STVでは1回の送信で最大で半角510文字(全角255文字)のテキストメッ セージを送ることができます。  テキストメッセージを送信するにはResp BSRの下にある入力ボックスに文字 を入力し、右のSend Textをクリックします。  テキストメッセージを受信すると、下のボックスにテキストが表示されます。 ○KG-STVの伝送規格  変調形式   :MSK又はMSKと4値FSKの複合変調  変調速度   :1200baud  変調周波数  :MSK……スペース周波数1200Hz マーク周波数1800Hz          4L-FSK…'00' 1200Hz '01' 1400Hz '10' 1600Hz '11' 1800Hz  帯域幅    :500〜2500Hz  エラー訂正  :無し又はビタビ符号(NASA標準K=7符号)  白色化    :有り(周期127ビットのM系列符号を各ビットに加算)  インターリーバ:無し  ヘッダ    :01の繰り返し信号を256ビット  基本符号構成 :同期符号+54ビット長情報チャンク+任意長データチャンク  誤り検出   :有り(CRC 16 CCITT)  同期ビット  :63ビットのM系列符号  画像圧縮   :JPEG互換(16x16ピクセル、間引き4:1:1)  文字符号   :シフトJIS互換  電波形式   :F1D(SSBモードでの運用)         :F2D(FMモードでの運用)  情報チャンク構成(システムコードバージョン'0')  ┌──┬──┬─┬─┬──┬──┬──┬──┬──┐  │sys │com │c │m │x │y │sc │size│CRC │  └──┴──┴─┴─┴──┴──┴──┴──┴──┘  0 4 8 9 10 16 22 26 38 54bit  sys :システムコード  com :コマンドコード  c :符号モード  m :変調モード  x :画像ブロック位置(X)  y :画像ブロック位置(Y)  sc :JPEGスケールサイズ  size:データサイズ  CRC :誤り検出符号  ※情報チャンクは常にMSK変調+畳み込み処理を行う  データチャンクの構造(システムコードバージョン'0')  ┌─────────────────────┬──┐  │data │CRC │  └─────────────────────┴──┘  ※データチャンクは情報チャンクのCRC符号に続けて送信を行う  コマンド表(システムコードバージョン'0')   ┌─────┬────────┐   │コマンド値│動作      │   ├─────┼────────┤   │  0  │テキスト伝送  │   ├─────┼────────┤   │  1  │画像伝送    │   ├─────┼────────┤   │  2  │BSR応答     │   ├─────┼────────┤   │  3  │終了      │   ├─────┼────────┤   │  4  │BSR要求     │   ├─────┼────────┤   │  5  │中止(中断)  │   ├─────┼────────┤   │  6  │コールサイン  │   └─────┴────────┘  ※送信を開始するのに際し初めに01のヘッダ符号を送信するものとする。  ※1つのデータフォーマット(符号構成)は    同期符号+情報チャンク+データチャンク   とする。但し、終了信号、中止信号、BSR信号はデータチャンクを含まな   い。  ※このデータフォーマットは画像データの場合は画像ブロック数だけ連続し   て送信するものとする。  ※テキスト伝送の場合は1つのデータフォーマットで完結するものとする。  ※送信の正常完了時には最後に終了信号を3回送信するものとする。  ※送信の中止時には最後に中止信号を3回送信するものとする。  同期符号  000011100001001000110110010110101110111100110001010100111111010  白色化符号  1110110011000100100111001111100100000100011010101001101101001010  000101100001100101111111010110111011110001110100010101110000001 ○KG-STVはより多くの実験を必要としています  KG-STVは作成者本人のデジタル画像通信の興味から生まれたものです。  しかしながら本人の力量などが原因で実践経験が不足しています。  そのため伝送時間が遅い、画質が悪い、なかなか受からないなど、実際の運 用上では実用的ではない場面も多いと思います。  そのような場合は新たな課題として研究したいと思っておりますので、ぜひ 多くの方に使っていただいて、感想などをいただければと思います。  ご意見をいただき完成度が高くなるまではバグや操作の不具合などご迷惑を おかけしますが、ぜひとも、よろしくお願いします。  作成者:K.G(JJ0OBZ 新潟県妙高市) ---------------------------------------------------------------------- 作成・著作 K.G k.g8956@ymail.plala.or.jp  今日も飛行機日より http://www2.plala.or.jp/hikokibiyori/ ----------------------------------------------------------------------